AI音声詐欺で高齢者狙う新手口 友人の声を完全偽装し医療費名目で金銭要求
イタリア北部で、AI技術を使って友人の音声を完全に複製し、脳出血で緊急入院したという架空の危機状況を演出する新種の詐欺が報告された。高齢の夫婦に対して実行された詐欺では、加害者が被害者の友人に関する私的情報を事前に把握していたが、架空の病院名の矛盾を指摘されて失敗に終わった。
詐欺の概要
イタリア北部トレヴィーゾ県で2024年7月30日正午ごろ、80代の夫婦宅に着信がありました。固定電話での呼び出しは珍しく、通常は広告か重要な通知です。電話の向こうからは家族の友人と名乗る女性の声がして、次のように訴えかけました。「転んでしまい、脳出血を起こしました。病院にいますが、大量に出血しています。どうか助けてください」
手口の説明
最初に電話に出た夫は衝撃を受けて会話を続けられず、妻に交代しました。妻は落ち着きを保ち、いくつかの質問をしました。その際、詐欺師たちは友人に関する以下のような情報を正確に知っていました。
- 本人の名前
- 現在の健康状態
- 過去の健康履歴
最も不気味だったのは、声が本当にその友人の声そっくりだったことです。これはAI音声生成ソフトウェアの可能性が高いと考えられます。
通話の途中で、詐欺師側の声が変わり、今度は男性が「病院の医師だ」と名乗り、「状況は非常に深刻だ」と述べました。ここが典型的な次の段階で、次は金銭要求が続くはずでした。
見分け方・警戒ポイント
妻がとった対応が決定的でした。詐欺師たちが言及した「サン・マルティーノ病院」という施設について質問したところ、地元(ペデモンターナ・デッラ・マルカ地域)ではそのような名前の病院は存在しません。この矛盾を妻が指摘すると、詐欺師たちはパニックに陥ったと考えられます。
妻は直ちに携帯電話でその友人に実際に電話をかけ、友人が無事で外国でバケーション中であることを確認しました。
詐欺を見分けるチェックポイント:
- 緊急事態の訴え:家族や友人が突然の医療トラブルにあったという話は、詐欺の典型的な入口です
- 個人情報の知識:詐欺師が個人的な詳細を知っていることは、ソーシャルメディアやデータ流出から得た情報の可能性があります
- 病院名の確認:不自然さを感じたら、地域の主要病院リストで確認してください
- 第三者への直接確認:疑わしい場合は、別の連絡方法でその人物に直接連絡を取るべきです
- 声の違和感:AI音声は完全ではなく、わずかなロボット的な音声特性や不自然なイントネーションがある場合があります
被害を防ぐためのポイント
- 焦らない:緊急事態は冷静な判断を奪うために作られます。数秒間深呼吸してください
- 事実確認を優先:不安になっても、必ず別の手段でその人物に連絡を試みてください
- 金銭要求には応じない:医療費や手数料名目で金銭を要求されても、銀行振込やギフトカード購入には絶対に応じてはいけません
- 当局への報告:詐欺の疑いを感じたら、警察に報告してください
相談・報告先
- イタリア:Carabinieri(カラビニエリ)の各地域本部
- 日本の方がイタリアで被害を受けた場合:最寄りの在イタリア日本大使館・領事館
情報源: Tribuna di Treviso